令和5年度 会長挨拶

「教育は国家100年の大計」

日立市教育研究会長 髙畠 幸浩

日立市教育研究会は、市内の教職員の職能向上と教育の振興を図ることを目的として、22の専門部に分かれて講師を招聘した研修会や授業研究会、有識者の講演会等の開催、学校外の機関と協力した文化事業や運動事業等の計画と実践を行う組織です。

令和5年度も、市内の園・学校等に勤務する約1000人の教職員が知恵を出し合いながら、目の前の子どもたちの希望や夢を支えるため、活動を続けています。


本会は、昭和から平成、令和と諸先輩方の思いを受け継ぎながら、これまで活動をしてきました。その間、さまざまな課題に直面してきたことと思います。その時代ごとに国の教育に関する方針が出されて、学習指導指導要領が改訂され、その教員はその考え方を理解し、実践を果たしてきました。 そして、いつの時代でもそのときの教育に向き合ってきた先輩方の、心の内にあった言葉は「教育は、国家100年の大計」で違いありません。

日本がこれからどのように変わっていくのか、社会にはたくさんの課題があります。しかし、何が起きようとも、根幹には「日立で学んだ教育」がその人を育てます。


先生方は覚えているでしょうか。東日本大震災が発生したときには、先生方の身のまわりはでは、どのようなようすだったでしょうか。私は、地震発生後に富士駐屯地から来ていた自衛隊から飲料水をもらうため、自宅近くのK中学校のグラウンドで5時間並びました。 市民はグラウンド一杯に何重にも列になり、静かに自分の順番を待っていました。また、体育館では、海岸部にお住まいの方々が数多く避難しており、生徒が必要な物資配りなど、自分の生活を後回しにしてボランティア活動をしていました。


私は、市民が暴動を起こさずに列を守り並んでいたこと、生徒が当たり前のこととして活躍していたこと、市民が互いに譲り合い、年の若い隊員に対して年配の方が心からの「ありがとう」という言葉を伝えているようすなどを見て、「教育の力」や「教育の大切さ」をあらためて強く感じたことを覚えています。 おそらく大半の先生方も、各避難場所で、同じ光景を目にしていたことでしょう。当時、学生だったみなさんも、大人になり当時を振り返ったときに、自然な形で正しく行動できた「自分」を育ててくれた要因の一つが「学校」であることに気付いたものと思います。

児童生徒の夢や希望を育てるための教育は、目先のことだけではなく、究極の時に「一人前の人として」正しく判断して行動する素地を育んでいるのだと、今でもその光景を鮮明に覚えています。


「教育は国家100年の大計」とは、これから先の国の繁栄を支える一番ベースにある言葉です。この3年ほどは、感染症の流行や、自然災害、国家間の争い、少子高齢化、生成AIの進化、SDGsなど、さまざまな課題があります。

しかしながら、日立市教育研究会には、豊富な指導経験のあるベテランから、最新の機器を用いた指導法に強い若手まで、10年先の日本を見通せる「志」の高い優秀な教員が多いと思っております。

さまざまな課題に直面しても、皆様が力を出し合い「チーム日立」で乗り越えて、日立市の教育理念である「未来を拓く人づくり」を推進していくことを期待しております。

会員の皆様、一年間どうぞよろしくお願いいたします。